Martiros Manoukian:夜想曲
 (現代のタイトルを直訳すると『謎』『難問』『理解しがたいこと』を言う意味になります。従って、この作品には多くの謎が含まれています。)
 まず我々は、この女性の顔も腕も見ることは出来ません。これは、いわば横たわるトルソーなのです。女性の美しさを知るために、顔や腕を見る必要は無いのです。女性の体は本当に完全で非常に美しいものです。私が女性の体で、一番完全で美しいと感じているのは胴体の曲線です。私はこの作品で、この最も美しい曲線に焦点を合わせ、女性の美のエッセンスというべきものを描きたかったのです。かの有名なミロのヴィーナスも腕が無いために、帰って我々が完全に美しい腕を想像することが出来るように、皆さんも、この美しい曲線から自由にその延長となる美しい顔や腕を想像することが出来るのです。足は布で隠されていますが、この美しい布も、その美しい胴体に続く完全なる足を自由に想像させてくれます。従って、私は、ある特定の女性を描いてはいません。モデルもいません。彼女は、いわば私の理想の女性、夢の中の女性であり、私は自分の心の中にある彼女の姿を想像しているのです。女性の美は深いものです。この作品は、全体にセピア調になっている中で、布とシールの部分に鮮やかな色彩をのせ、強力なインパクトを与えています。“夜想曲”は、私の最高傑作の一つと言うべき素晴らしい作品です。